自己破産手続きを担当しておりますと、お客様の勤務先の会社で、特定退職金共済をかけている方がいらっしゃいます。
この特定退職金共済制度の掛金は、自己破産手
・・・(続きはこちら) 自己破産手続きを担当しておりますと、お客様の勤務先の会社で、特定退職金共済をかけている方がいらっしゃいます。
この特定退職金共済制度の掛金は、自己破産手続きにおいては、どのように取り扱われるのでしょうか。
同様に退職金共済制度の一つである中小企業退職金共済や建設業退職金共済との自己破産手続き上の取り扱いについても、触れてみたいと思います。
1 特定退職金共済って何?
特定退職金共済とは、所得税法施行令73条に規定される特定退職金共済団体により運営される社外積立型の退職金制度です。
このような特定退職金共済制度は、企業が独自に設計・運営する退職金制度とは、その運営主体において区別されます。
企業におけるメリットとしては、特定退職金共済制度に加入し、掛け金を特定退職金共済団体に支払えば済み、加入や給付金の支払いなどの事務手続きが簡略化されていること、また、掛け金を損金などに計上できること、などのメリットがあります。
2 破産法上の取り扱いはどうなるの?
破産手続きに際しての評価としては、同じく退職金共済制度の一つである中小企業退職金共済や、建設業退職金共済が差押禁止債権とされている(中小企業退職金共済法20条)のに対して、特定退職金共済には差押え禁止の規定がありません。
したがいまして、差押え可能なことから、破産手続き上は、通常の退職金債権に類似したものとして取り扱われ、実務上は、その支給見込み額の8分の1(退職間近な時などは4分の1)が財団組み入れとなります。(破産管財実践マニュアル「第2版」288頁、同148~149、同296頁参照)
ただし、このような取り扱いにつきましては、お客様のご年齢やご収入、健康状態、自己破産手続きに至った事情、ご家族や御両親の御年齢、健康状態、経済事情などに鑑みて、裁判所により自由財産拡張の余地があるものと思われ、私自身、実際に認めていただいた例がございます。
3 最後に
同じ外部積立ての退職金共済制度でありながら、差押え禁止であったり、そうでなかったり、その違いについてきちんと説明されている法律書はありませんでした。
中小企業退職金共済については、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営しているから差押え金禁止なのでしょうか…
どちらもよく似た退職金共済制度なので、実質的にお金を負担している勤労者であるお客様の立場からすると同じように見えます。
お客様の方で、上記2の最後の方で述べたような事情がある方は、事前に、弁護士によく事情を説明して、自由財産拡張の申立てを行うことをお勧めいたします。
以上