様々な土地評価について
土地の評価額は、私たちが生活する上で様々な場面で関わってきます。
不動産の売買、公共用地の買収、相続税の計算、固定資産税の支払い、など、その評価基準によって金額が大きく変わることも珍しくありません。
私自身、弁護士になる前に政府系の企業に勤務しておりましたが、当時は、この土地評価を、日常的に、膨大な量の土地について行っていた時期がありました。
また、弁護士や税理士になってからも、たくさんの種類の土地評価に接しています。
この度は、様々な土地の評価額について簡単に解説させていただきます。
1 そもそも、なぜ土地評価基準は複数存在するの?
土地の評価基準が複数あるのは、それぞれの目的が異なるからです。
例えば、実際に土地を売買する際の価格と、税金を計算するための価格は、必ずしも一致する必要はありません。
それぞれの評価基準は、特定の目的に沿って、公平性や合理性を保ちながら、定められています。
2 実勢価格(取引価格)
実勢価格とは、実際に市場で取引される土地の価格です。
不動産会社による査定価格がこれに該当し、売買の際の重要な指標となります。
また、裁判所が相続や離婚の際の財産分与などの手続きで土地の評価を行う際にも、実勢価格が基準の一つとして考慮されます。
この価格は、通常、不動産会社が、周辺の取引事例や市場動向を基に査定を行うことにより算定されます。
実勢価格による土地評価が、あらゆる土地評価の中で一番高くなると言われています。
3 固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税を計算するために用いられる評価額です。
実勢価格よりも低い水準で評価されることが一般的で、おおよそ実勢価格の約7割程度と言われています。
4 路線価
路線価は、相続税や贈与税を計算する際に用いられる評価額です。
道路に面する土地の1平方メートルあたりの価格を示しており、実勢価格のおおよそ約8割程度と言われています。
路線価は、国税庁が毎年発表しています。
5 地価公示価格
地価公示価格は、国土交通省が毎年発表する土地の価格です。
全国の標準地を選定し、不動産鑑定士が鑑定評価を行い、それをもとに国都交通省が結果を公表します。
一般の土地取引の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準としても活用されます。
この価格が一番、実勢価格に近いものとなり、地価公示価格の1.1~1.2倍が実勢価格の目安と言われています。
6 都道府県基準地価格
都道府県基準地価格は、地価公示を補完する目的で、各都道府県が発表する土地の価格です。
地価公示と同様に、不動産鑑定士が鑑定評価を行い、それをもとに都道府県が結果を公表します。
地価公示の調査地点が少ない地域において、より詳細な土地価格の情報を提供します。
地価公示と同様に、基準値価格の1.1~1.2倍が実勢価格の目安と言われています。
7 不動産鑑定士による土地評価
不動産鑑定士は、不動産の専門家として、様々な目的で土地の評価を行います。
不動産鑑定士による土地評価は、上記の通り、地価公示、都道府県基準地価格を算出する際の鑑定評価として利用されることもありますし、公共用地の買収の際に、土地価格の正確性を担保する際に添付されることもあります。
主な評価方法として、以下の2つがあります。
・取引事例比較法
周辺の類似した取引事例を参考に、土地の価格を評価する方法です。
・収益還元法
その土地が生み出す収益に着目し、土地の価格を評価する方法です。
賃貸物件や事業用地の評価に用いられます。
8 まとめ
土地の評価基準は、それぞれ異なる目的で使用されており、実勢価格、固定資産税評価額、路線価、地価公示価格、都道府県基準地価格、不動産鑑定士による評価など様々な土地評価があります。
例えば、土地を他者に売却したり、相続などで、遺産分割を行う場合には、実勢価格を用いなければ不利益を被る可能性があります。
また、相続税の基礎控除の計算をする際に、実勢価格をもとに計算して課税になるとしても、路線価は上記の通り実勢価格よりも1~2割程度低額ですから実際には相続税がかからないということも多々あります。
よって、上記の通り、それぞれの目的に沿ってどの土地評価額を用いなければならないのか知ることがとても重要となってきます。
それぞれの評価基準の違いを理解するには、弁護士、税理士の専門家のアドバイスを受けながら、利用目的にそって間違いのないように行うことをお勧めします。
以 上
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